2013年2月11日月曜日

望む事。。。

 昨夜から38度を超える高熱が下がらない。
10時過ぎには38.5度。看護師さんが頭や脇に氷のうをしてくれるが、一向に下がらない。
解熱剤のロビオンを流す。
 
 額には1時間おきに冷えぴた。
解熱剤を流しても夜中も朝方も熱は下がらない。体も動かない。手も汗ばんでいるが、拭いてさすってやると少し反応するような感触。。。
解熱剤は8時間は開けるので、7時過ぎにはまた投与した。

 今日は主治医の先生が当直で、朝から手術らしい。その前に病室に寄ってくれて脳外科の先生の診断を簡単に説明してくれた。
金曜の深夜のCT結果から癌性髄膜炎の進行、と有る。
 ガン細胞が脳の髄液の中に侵入し浸潤していく・・・。解りやすく言うと、ガン細胞が脳の周りに取り付き増殖して神経を犯していく、と言う事か。

 確かに金曜の夜から一気に変化した。ろれつが回らなくなり体中脱力状態。それでも土曜の午前中までは頭も左半身はしっかり動いていた。必死に起き上がろうともしていた。
ところが、その午後から動かなく成ってしまった。
 相変わらず高熱は続くが、今は雄一にとっては痛みも感じない状態なのかもしれない。

 色々調べて見ると何も希望の有る情報は出て来ない。
髄液の治療をしても元の原発巣が直らない限りいくらでも再発してしまう。
 どうしたらいい?
先生も対処療法しかない、と言われる。痛みや熱を下げる緩和治療という事だろう。
体は動けないし、僕らにはどうする事も出来ない。

 今日は主治医の先生は当直。僕もずっとお泊り。
だから、今晩一旦家に戻って、大はしゃぎするモモと散歩してご飯を食べてから病院に戻り先生の都合のいい時に相談を。。と看護師さんにお願いしておいた。
 
 先生はすぐに来てくれる。色々話を聞いては見るが、やはり効果的な治療はほとんど無い。
癌性髄膜炎に関しては医療データーその物が少ない。大体それまでに患者はガンや副作用で亡くなっている。治療例としては有るが、効果が有った、と言うだけで病院の倫理で認められる治療でもない様だ。
 先生も手詰まり。でも今夜も沢山のデーターや報告資料を調べてくれている様だ。
今、この状態では何をしてもリスクは有る。少しの可能性が有っても、それは背中を押してしまう事にも成りかねないので、病院の倫理でも認められない場合が有る。
それでも良いと思ったらやりますけど、とも言ってくれる。

 雄一は延命治療は要らない、と以前から言っていた。手術した後の鼻にクダを通されるのも絶対イヤだと言っていた。切った、張ったはもういい。
母親やお姉ちゃんにも雄一の望む様にしてやろう、と話をした。。。

 先生にもその話をして
「もう動けないし、先生にお任せするしか有りません。出来る事はお願いします。」
先生は
「解りました。また調べて来ます。」と言われてすぐに出て行かれる。
先生にも大変なプレッシャーだろう。それも一人の患者では無い。体力も精神力も向上心も探究力もスーパーマンだと思う。
 奇跡を起こして欲しい。 

2013年2月10日日曜日

下がらない高熱。。

 朝方には左手も左足も良く動いていた。
左足は何度もベットの下へ伸ばしてスリッパを履こうとする。そのたびに痩せ切ったふくらはぎがベットのフレームに当たって赤くなる。

 メガネも自分で左手で取ろうとして手助けした。視力もかなりずれている様だ。
そして髄液の圧を減らすグリセレズの点滴。少し体温が高い。37度少し有る。それが終わると今度は吐き目止め、ノバミンを入れる。これには発熱などの副作用も有るので、僕は余り入れて欲しく無かった。今は吐き気は収まっているし、その為にグリセレズを入れているんだから。

「先生の処方に成っていますので。。」
若い看護師さんがそう言われるので、仕方が無い。
けれど、しばらくすると雄一の額には汗が出て来た。体もほてっている。
すぐに看護師さんを呼んで体温を測ると38度を超えていた。
「本当に、これ要るの?」 と言うと
一旦、注入を止めて
「解熱剤を持って来ます」と言って、今度は解熱剤の注入が始まった。

 これは副作用対策のフタにフタをする、悪い循環だ。ダメならまた次のフタが来る。
いずれも根本治療にはならない。
抗がん剤を使うとその副作用対策の薬が沢山出てくる。今の保険制度の治療は根本的に間違っていると思う。医師も大変、患者も苦しむ。お蔭で大儲けしているのは製薬メーカーだ。

 後で回診の先生が来られて形通りの検診をするが、雄一の反応は無い。
 この頃から手足も動かなくなった。声をかけても聞こえていないのか、返事出来ないのか、反応が無い。
先生も「もう、吐き気止めはいいでしょう」と言って外してくれた。

 高熱を出す病気にわざと感染して熱に弱いガン細胞を叩く治療も有るようだ。けど今、そんな体力は無い。
 お昼前に看護師さんたちが、体を拭いて着替えさせてくれた。
腕や足をずっとさすってやると少し反応するような。。。右手はちょっと指先が動いたりヒジを少し曲げたりした。
 母親が手をさする姿は見ていてたまらない。。。雄一も解っているだろう。

 お昼前から体はほとんど動かなくなった。
夜には体温がまた38度を超える。9時過ぎには38.8度まで上がった。体も熱い。
看護師さんが、解熱剤の点滴ロビオンを入れる。それが終わっても10時過ぎにはまだ38.5度。
 氷まくらを変えて、脇にも冷しまくらを入れてくれた。
今はこれ以上、手は打てない。
 体は動かない。今、体の中はどうなっているんだろう。
必死で自分の免疫細胞が頑張っているんだろう。。と想像する。
 血圧も脈も少し落ち着いて来た。がんばれ!!

辛い時こそ明るく!前向きに!

 昨夜は2本目のグリセレブの点滴を終えて、少し表情もハッキリして来た。
一旦、モモの散歩に家に帰り、お風呂に入って戻ってくると、テレビを見ている。
左半身だけで、必死に向きを変えてチャンネルを取って、自分で着けたらしい。

 その前にもベットを起こして、左手だけで僕の手を引っ張り、必死に起き上がろうとしていた。でもね、左手、左足だけでは人間て起き上がれない。多分背筋や腹筋も上手く動いていない様に感じる。
 まだ返事も出来ないので、どうしたいのか、中々気持ちが理解出来ないし伝わらない。

 夜にお姉ちゃんが来てくれて
「ボードに書かそうか?」と聞くが、フラフラの左手だけでは書けないだろう。
それでも右手に有るテレビの方へ体を向けて、左手でチャンネルを持ちながら見ていた。

 吐き気止めやグリセレブの影響なのか、このところ体温が高い。いつもは36度の下辺り。
それが、今日は37度から、夜半の検診では38度を超えた。頭に少し汗もかいている。看護師さんが氷まくらを持って来てくれた。心配だけどしばらく様子を見るしかない。

 テレビを見ながら寝ているので、そっとテレビを切って僕も眠りに入った。
でも、12時近く、またテレビが着いている。自分で着けたのだろう。今度はそのままにして放っておいたら、1時過ぎには自分で消していた。

 夜にも3本目のグリセレブが入り、脂肪のカロリー、栄養剤などずっと点滴が続く。普通の人間なら、これだけ色んな物を続けられたらおかしくならないか?と見ていて思う。抗がん剤は入れていない。
 先生が言うには
「今まで頑張っていたところの一線をとうとう越えてしまった。。」
確かにその通りかもしれない。

 動かない手足をさすってやると気持ち良さそうに目を閉じる。まぶたの端にはにじんだ物も見えるように感じる。どんな思いだろう。。。

 今朝は昨日の小雪も無い。窓の外は青空だ。
今日は子供達の新チームでの試合、大会が有る。時間が取れれば元気なプレーを見に行きたい。
 辛い事はもっと有る。どんな時も明るく前向きに行こう!

2013年2月9日土曜日

深夜のCT。長い長い夜。

 昨夜、病院は母親に任せて一旦家に戻り、大騒ぎするモモと散歩。騒ぐ割にはあんまり走らない、走るのが余り好きではない。ちょっと腰の周りもお肉が着いて来ている。なので、食事も最近は少し減らした。
 外は雪が舞っていて、明日の滋賀での試合は出来るのかなあ・・・と思いながら全部の用意をした。

 そして10時前に病院に戻ると、雄一がぐったりとベットに寝ている。完全な脱力状態だ。
「どうしたの?」
母親は親バカを発揮して、「食べたい」と言うので少し焼きそばを食べさせたらしい。
 それまでは病棟内を歩いて、疲れて、それでもコンビニに行って何か買って来ようと、歩いていたがさすがに疲れて車イスに乗って帰って来た。部屋にはその車椅子が置いてある。
それまではいつもの、言うことを聞かない雄一だった。

 焼きそばを食べようとしたが、おはしも上手く持てない。そのうちにろれつも回らなくなってしまったようだ。お昼過ぎにも、何か僕に伝えようとして、自分で
「ろれつが回らん・・・」と言ったが、すぐにその後寝てしまっていた。

 二人でやっとベットに真っ直ぐ寝かせたが、やはりおかしい。見るとシーツもおしっこで濡れてしまっている。家での点滴と違うのは午前、午後の吐き止めの薬だ。
 看護師さんを呼んで
「吐き気止めって麻酔みたいなの、入ってる? 」
看護師さんも普通では無い、と気づいたようだ。
すぐに調べに戻り、主治医の先生にも連絡してくれた。
しばらくして、「これから血液検査と頭のCTを撮ります 」
「え!これから?」

 しばらくして先生も家から駆けつけ、ベットのままCTへ運ぶ。
本当に病院の先生はいつ休むんだろうy・・・。これは人並みでは済まされないぐらいの体力と信念が要ると思うね。本当に頭が下がる。

 CTでは前回からそれ程、大きな変化は無い。出血も認められない。ただ問題は脳をおおう髄膜の液の圧が、細菌やガン細胞が入り込むと圧が上がり、頭痛や神経障害にもなるらしい。
多分、雄一の場合はそれが、一番疑われる、と。
 その治療はグリセレブと言う点滴を使って、圧を下げるが根本治療にはならない。しかも長くは保険適用では使えないらしい。

 残りは外科的な手術で髄液をチューブで抜く方法が有るが、細菌に一番弱いところだし感染症が心配。となると他に方法が無い。ガンの細胞ならそれを無くすしかない。どうすればいい?

 深夜の血液検査でも不安定な心配な数値が有る、と先生は言っていたが、今朝の検査では予想していた様な症状の心配は今の所無い、とまた休日にも関わらず、先生は私服で来られて説明をしてくれた。
 
 昨夜から声も出せない。左は動くが、右手も右足もほとんど動かない。目もうつろ・・・頭の中でもがき苦しんでいるのだろう。どうする事も出来ない。
手や足をさすっていると、気持ち良さそうにじっとしている。。。涙しか出て来ない。


 長い夜が明けた。グリセレブは8時間おきが限界で、もうすぐ2本目を入れる。まだ症状は全く変わらない。少しでも良くなったら方向性は見えるが。。。

2013年2月8日金曜日

3パック目の輸血。懲りない性格。。

 昨夜も2時間おきぐらいにトイレに行く。さすがに明け方近くは起きるのも辛い。
何とか一人でもフラフラとは歩ける様にはなったが、立ち上がったり、点滴ポンプの固いコンセントを入れたりするのはまだ無理だ。

 吐き止めを午前、午後と入れてもらっているが、ほんの少し良くなったぐらいか。。。
夜半から水分を取る度にしばらくして嘔吐する、このパターンが続く。
なので、口をゆすいだりして出来るだけ量を少なくしている。水分は点滴で充分入っているから大丈夫だ。

 今朝、先生が来られて
「胃が固くなって動きが悪くなっているようです。胃液もあまり出ていない、と思います。」
確かにその通りだ。

「今日はもう1パック輸血して、もう少し点滴で治療しながら様子を見よう」
と言われて、雄一は
「まだ、帰ったらアカンの?早く帰りたい。。 」と言う。
先生は返事に困っている様子。。。本当の事も中々言えない。

「今、帰ったらまた暫くしたら救急車で来なアカンぞ!」
と僕が言うと
「・・・・何にもする事ない・・・」
としぶしぶ頭を下げる。。。

 しばらくは様子を見ながら治療をお願いした。
それで、今日は3パック目の輸血。これでトータル7パックにもなる。1.4L。これからも症状が続いたら、またお願いする事になるだろう。本当に申し訳ない。

 この状態になってもポテトが食べたい、から揚げ食べたい、コロッケ食べたい・・・。と昨日から連発している。母親は昨日は仕方無くコロッケをコンビニで買って来た。
 今は絶食中なのに・・・。でも希望を叶えてやりたい、と思うのもバカな親心。

 僕が出かけた帰りに、MACの塩抜きポテトを買って来た。母親もまたコロッケを買って来る。さすがにから揚げは買わない。
病室に戻ると、懲りずに美味しそうに食べる。もちろん内緒で。
 食べたら吐くかな?と思っていたが、胃袋が喜んだのか、これでは吐かなかった。

 しばらくして立ったり座ったり、マンガを読んだりしている。
「残りのポテトを食べる?コーヒーでも飲むか?」
「コーヒーって良いの?」

「お前、絶食でポテトにコロッケなんやで。」
「まあ、そうやな・・・」

 暖かいカフェとポテトをチンして食べている。
でも、やっぱりコーヒーは良くなかったようだ。美味しそうに飲んでいたが、1時間ぐらいしたら結果が出てしまった。

 無理はさせたくないが、ここまで来ているからね。出来る事なら食べたい物はたべさせてやりたい。
今週はテレビもマンガもゲームも、する気力が無かったが、今は休憩しながらマンガを読んでいる。
3パック目の輸血も終わって、少し楽になったのかな。
 先生はこれで、計算上は8割方、血液は戻っていると思う、と言う。出血はまだ止まってはいない様だし、これから検査の数値を見ながらの治療になる。
 ガンの出血に関しては効果的な手法はないらしい。特に今は薬も飲めない。
本人の免疫がどこまで頑張ってくれるか・・・幸い白血球の値は上限以上に有る。
 免疫細胞の活躍に期待をかけたい。。。